かくれんぼって、鬼に見つからないように隠れるだけだよね……?
隠れるだけで、何をしたらケガにつながるの??
全くケガをする要素が見当たらない私は、不思議そうに首をかしげた。
「おばさ……理事長が言ってたろ?優勝したクラスには豪華賞品があるって。みーんなそれ狙い。かくれんぼでもガチだから。去年は、校舎内に結構トラップしかけて鬼を足止めしてたらしいし」
トラップって……。
史緒くんの口から出た普段は聞かない言葉に、あははと苦笑いを浮かべる。
「史緒先輩、ちなみに去年の豪華賞品はなんだったんすか?」
琥太郎くんの問いかけに、私も興味津々で残りのメンバーの顔を見つめた。
たしかに、黒涼生がそれだけ必死になるのだから相当良いものに違いない。
ワクワクと胸を高鳴らせる私に。
「去年はたしか、学食3ヶ月食べ放題券だったかな?」
千歳は笑顔でそう返答した。
「おぉ……!!!マジすか!それは熱いっすね!」
「……」
パアッと表情を明るくする琥太郎くんとは対照的に、曖昧な笑みをこぼす私。
食べ盛りの彼にとっては魅力的なのだろうが、トラップをしかけたり、ケガをしてまで勝ち取るかと言われれば微妙なところだ。



