「り、立栞?」
「立栞先輩……?」
普段出さないくらい私の低い声にビクッと反応したのは千歳と琥太郎くんだ。
史緒くんも呆気にとられたように目をパチパチと瞬かせているし、いつも冷静な伊緒くんでさえ、操作していたタブレットの手を止め、私に視線を向けていた。
「もう黒涼祭のことだよっ!生徒会と連携して準備を進めてるって話だけど、私、何も聞いてない」
一気にそこまで言い放った瞬間。
「……え?史緒この前、立栞に話したって言ってなかったか?」
「は!?俺は知らないよ。伊緒が言ったんじゃないの?」
「……琥太郎が話してるんじゃないのか?」
「ええっ!?千歳先輩が黒涼祭のこと言ってるんがじゃないんですか!?」
「……」
なにこれ?コントなの……?
彼らの反応を見て、私は頭が痛くなる。
つまり、お互いがそれぞれ誰かが私に話してるって思い込んでたってこと?
「え〜っと、立栞……。黒涼祭のこと誰も伝えてなかったみたいだ。悪かったな。だから、別に隠そうとしてたわけじゃないから……」
最終的には、苦笑いを浮かべた千歳に謝られた。
「……信じられない」
私の呟きが聞こえたのか、史緒くんと琥太郎くんは気まずそうに私から視線をそらし、伊緒くんはすでに我関せずという感じでタブレットを操作している。
まぁ、わざと隠してたってわけじゃないことはわかったけど……。
「千歳、大事なことはちゃんと伝えてもらわないと私もビックリする。仲間外れにされてるのかって思った」



