「うふふ、懐かしいわ。やっぱり彩也子に任せて正解だったわね。デザインは前から見せてもらってたけど実際に西藤さんが着るとまた雰囲気が違うし……!本当にお人形さんみたいで可愛い〜♡」
「あ、ありがとうございます。……そういえば、美千子理事長はこちらに用事が?理事長室から出てこられるの珍しいですね」
べた褒めしてくれる理事長にお礼を言いつつ、私はふと感じだ疑問を口にする。
理事長室へ先生方が行くことはあれど、理事長自ら職員室に来るなんてよっぽど重要な用事なのだろうか。
「邪魔になりそうだったら出直そうかな?」と考えていた時。
「そうだわ!ここで西藤さんに会えたんだもの。せっかくならいっしょに行きましょ?あなたも"黒涼祭"のこと気になるでしょ?」
笑顔で私の手をギュッと握り、「行くわよ〜」と職員室の中に入っていく彼女に私は目が点になる。
黒涼祭……?
聞き覚えのないワードと突然の出来事に戸惑っている私をよそに、ズンズンと歩みを進めていく美千子理事長。
「先生方、お疲れ様〜。色々段取りは順調かしら?」
「り、理事長……!お疲れ様です」
教務主任で、特進科の担任でもある安田先生が理事長の姿を見つけ、慌ててこちらに駆け寄ってきた。



