「あら…!西藤さーん、久しぶりね。うちの高校にはだいぶ慣れたかしら?」

「美千子理事長…!お久しぶりです。はい、だいぶ慣れてきました」

それは、とある日の昼休み。

職員室に用事があった私が、特進科の教室から職員室まで向かう廊下を1人で歩いていると、前方から颯爽と歩いてきた美千子理事長と遭遇したのだ。

黒涼高校に通いだして、早1ヶ月。
通い出したのは5月半ばだったから、今は6月も半分を過ぎて梅雨真っ只中。

「まぁ〜。彩也子ったら本当に服のセンスが良いわぁ〜。夏服のデザインも素敵ね…!あの子、昔からオシャレでね?仲間内ではオシャレ番長だったのよ〜」

フフッと微笑みながら嬉しそうに話す美千子理事長の言う通り、私の制服も6月に入り、夏服へと衣替えしていた。

爽やかな白のブラウスの襟や袖付近には、グレーの装飾があしらわれており、スカートは冬服の時との濃い青から打って変わってそちらもグレーにシフトチェンジされている。

全体的に爽やかな印象で、私も結構気に入っていた。

たしかに、うちの理事長いつもオシャレだったもんなぁ。

最近、会っていない理事長のことを思い出しながら「そうなんですね」と美千子理事長の話に相づちを打つ。