「はっ……!伊緒くん、そういえば琥太郎くんに聞き忘れてたけど2人とも今日は何であのカフェに?」
カフェ店内で『え〜っと、とりあえず、俺と伊緒先輩がここにいる理由はまたあとでゆっくり説明しますんで』と琥太郎くんに、言われていたことを思い出した私は隣を歩く伊緒くんに問いかけてみる。
まぁ……。なんとなく予想はついているけれど。
「お察しのとおり、千歳の指示だよ。最初は琥太郎だけで行く予定だったけどね。……ちょっと気になることがあって俺もついていくことにしたんだ」
げんなりとした私の顔をチラリと見た伊緒くんは、表情を変えずに淡々と語りだす。
やっぱり千歳か〜。
私が学校を出ようとした時も、琥太郎くんに送らせようとしてたもんなぁ。
南翔くんと関わるようになってから過保護が過ぎて私もちょっと困っていたけど、今日のことを知ったらそれがもっと酷くなるんじゃないかと今からでも頭が痛い。
「伊緒くんの気になることって?」
「南翔が最近、この辺をウロついてるってタレコミがあったからね。南翔関連は、琥太郎1人だけじゃ対処しきれないし。念の為って思ってついてきたけど今日は予想が当たった」
真剣な表情でまっすぐに前を見つめる伊緒くん。
その辺の女の子だったら、卒倒してしまうくらいカッコいい。
けど、私が気になったのはそこではなく……。
「タレコミって……??」
そう彼の口から出た「タレコミ」という言葉だった。



