「伊緒先輩……!俺、2人をとりあえず安全な所まで送ってきます!そろそろ帰らないと遅くなりますし」
現在、時刻は17時半。
カフェ内でのゴタゴタでずいぶん長居してしまったこともあり、だいぶ遅くなってしまった。
明日も学校だし、琥太郎くんの言う通り、有紗と美心を早く家まで送り届けなければならない。
私が途中までついていこうと思っていたけれど、帰り道が2人とは逆方向。
それにさっきの一件もあったし、琥太郎くんに任せた方が安心かもしれない。
有紗と美心は幸いにも、変える方向も一緒だから送り届けやすいし。
ただ……。
「美心はそれでも大丈夫……?」
男性が苦手な美心。
有紗も一緒だとはいえ、「大丈夫だろうか?」と心配になる。
「有紗先輩もいますし、榊くん、良い人だってわかったので大丈夫……だと思います」
まだ少し緊張した様子だが、そう言った彼女の瞳は無理をしている風には見えなくて、私はほっと胸を撫で下ろした。
「じゃあ、琥太郎くん、2人をお願いね」
「はい!立栞先輩、任せてください」
そう元気よく手を上げた琥太郎くんは「それじゃ、有紗さん、美心さん行きましょう」と2人に声をかける。



