その生徒会、取扱注意につき!


「……崎永有紗」

「ふ、古川美心です……」

"体育科"という単語に反応した2人は、表情をかたくしながらもそれぞれ自己紹介をする。

「え!この流れって、心葉も自己紹介したがいい感じだよね?私、水野心葉、桃苑女子の2年だよ。で、南翔のカノジョね!たぶん、南翔のカノジョの中で1番古株かな?よろしくね♪」

南翔くんの腕に自分の腕をからませながら、軽いノリで挨拶をした心葉ちゃん。

すると、次の瞬間には。

「で、そこの南翔のカノジョ候補ちゃん……!えっと、立栞ちゃんだったよね?立栞ちゃんが着てるその制服はいったいどこの高校の??」

改めて私の方に向きなおり、興味津々といった感じで食い気味に尋ねてくる。

きっと彼女に他意はなく、純粋に私の制服が気になるだけみたいだけど……。

黒涼高校と白浪女学院の統合話について、世間ではまだ公に発表されていない。

そのこともあってどの程度答えてよいものか、私は悩んでしまう。

「えっと……。これは……」

「立栞が着てるのは、うちの高校と白浪女学院が統合したら使う予定の制服の試作品。だから、どこにもまだ出回ってないし、心葉が知らないのも無理ないね」

口ごもる私の代わりに答えたのは南翔くんだった。

「へぇ〜!じゃあ、めっちゃレアってことね。その制服めっちゃセンスいいわ〜。統合っていつ?心葉も転校しようかな〜」

そう言って、心葉ちゃんはうらやましそうに私の制服を見つめる。

そんな彼女に向かって「心葉の成績じゃ、うちの高校はまず無理だね」と南翔くんはバサッと切り捨てた。