バサバサのまつ毛からのぞく茶色の瞳。
その目力に、私がタジタジになっていると。
「心葉。初対面の子をそんな睨むのよくないんじゃない?」
にこやかに南翔くんが彼女をたしなめてくれる。
「えー。心葉、別に睨んでなんかないし。目つきがちょっと悪いだけでーす。それにあの子の制服見たことないから気になったんだもん。てか、あなたたちも南翔のカノジョなの?まさか白浪の子まで南翔の毒牙にかかってるなんて思わなかったなぁ」
……はい?
心葉と呼ばれる彼女の言葉に私は大きく目を見開いた。
というか、あなたたち"も"って……、どういう意味?
「違う、違う。白浪の子は初対面。あ、でも立栞は俺のカノジョ候補かな?」
クスッと意味深な笑みを浮かべた南翔くんは、私に愛想のいい笑顔を向けてくる。
この人はいったい何を言ってるんだ……。
だんだん頭が痛くなってきて、私はこめかみあたりを手でソっとおさえた。
「立栞……。大丈夫なの?」
「会長……」
不安げな表情で私の名前を呼ぶ有紗と美心に「大丈夫だよ」という意味を込めて、小さく目配せをする。
その時。
「あ、立栞の友達に名乗ってなかったね。俺は黒涼高校体育科の澄川南翔。よろしくね?」
有紗と美心に声をかける南翔くんはひらひらと、2人に向かって手を振った。



