照れたように、ふいっとそっぽを向く彼に私は内心クスリと笑みをこぼす。
なんだか少しだけ、史緒くんと仲良くなれた気がして嬉しくなった。
その後、さっきよりかは些か和やかな雰囲気で、無事に史緒くんからの学校案内は終了。
そのまま、私は彼の案内で特進科に向かうことに。
その途中、「ほら、あれが第2校舎だよ」そう言って嫌そうな顔をする史緒くん。
私はその視線をたどるように窓の外に目をやった。
窓から見えたのは古びた校舎。
第2校舎というぐらいだから、もしかしたら旧校舎なのだろうか?
所々、窓ガラスが割れており、壁にはスプレーで無数の落書きがしてあるのが見えた。
こちらの新しめの校舎と比べると全然違う雰囲気に私は目を見張る。
「特に気をつけないといけないのは、体育科を仕切ってる澄川南翔(みなと)。銀髪が特徴だからすぐわかるよ。俺等と同じ高校2年生だけど……。アイツは一筋縄じゃいかないから千歳も手を焼いてるんだ」
"千歳も手を焼いている"という澄川南翔という生徒。
史緒くんがそこまで言うのだから黒涼高校にトレード留学している間は気をつけたほうがよさそうだ。



