実はいちばん気になっていたのはそこだった。
白浪女学院の方は、戸惑っている生徒が多かったけれど、黒涼高校はどうなのだろう。
「まぁ、普通科の連中は基本的に喜んでるよ。うちの男どもにとっては白浪のお嬢様なんて高嶺の花だしね。お近づきになれるならなりたいっていうのが正直な所でしょ」
「そ、そうなんだ……」
若干、不安になる私を横目に史緒くんは言葉を続ける。
「そんなに気にしなくても普通科の連中は、馬鹿が多いけど根は良い奴等の集まりだし心配ないと思う。ただ、体育科の連中は気をつけた方がいい」
「体育科?」
「黒涼高校の素行が悪いって言う噂の根源は、ほとんど体育科だ。お前みたいなお嬢様なんか襲われて終わり。だから、ここにいる間は体育科のある第2校舎には近づかない方がいい。まだ千歳も体育科の方まで手を回せてないから」
ほぼ脅しのような史緒くんの説明に私は、ゴクリと息を呑んだ。
「わかった、気をつける。ふふ、史緒くんってなんだかんだ優しいんだね」
「っ……!はぁ?調子のんな。俺は体育科の連中がいけ好かないだけだし。それに一応同じ特進科になるわけだから知り合いが襲われたら寝覚めが悪いからな」



