何この部屋は……。
足を踏み入れた理事長室をグルリと見回した私は、内心開いた口が塞がらない。
ソファやら窓際には、たくさんのぬいぐるみが飾られており、壁紙の色は一面ピンクの花柄。
さらに、窓のカーテンはフリフリの白フリルで可愛らしい雰囲気を演出していた。
「……」
あまりにも理事長室に似つかわしくないメルヘンな空間に私が言葉を失っていたその時。
「あなたが彩也子が話してた西藤立栞ちゃんね。はじめまして〜。私が黒涼高校理事長の城月美千子です。よろしくね立栞ちゃん♡美千子って呼んでね?」
奥の部屋から出てきた人物を見て、私は再度目を見張る。
だって、そこにいたのはいわゆる、ロリータファッションに身を包んだ可愛らしい女性だったから。
フワフワのパニエ、胸元には大きな白いリボン。
頭にはメイドさんがつけているようなレースのカチューシャをつけている彼女がどうやら、黒涼高校理事長らしい。
うちの理事長も大概だけど……。
黒涼高校の理事長ってもっと個性的だわ。
「は、はじめまして。白浪女学院生徒会長をしています、西藤立栞です。よろしくお願いします……。えっと、美千子理事長」
ペコリと頭を下げ、理事長に向かって私は挨拶をかえした。



