「え……?特進科ってここにいる3人だけなの?」
驚愕の事実に私は目を見開いた。
「まぁ元々、黒涼高校ってあんまり勉強したいからって入ってくる方が少ないから。俺の場合も特進科は授業料免除って言うのが魅力で入学決めたしな」
「そうなんだ……。伊緒くんと史緒くんも黒涼高校に入ったのは千歳と同じ理由?」
後ろを歩く城月兄弟に声をかけると、史緒くんには無視されてしまったが、伊緒くんは、タブレットから視線をあげ、私を見つめると。
「俺達は千歳についてきただけ」と答えてくれた。
「3人って昔から知り合いなの……?」
「小学校の時からね。あの時は、千歳も今と違ってだいぶやんちゃだったけど」
フッと不敵な笑みを浮かべる伊緒くんに、私は小首を傾げる。
"やんちゃ"
そのワードは今の千歳のイメージとは程遠い。
だって、爽やかに微笑む姿は落ち着いた印象だし。
どちらかといえば、琥太郎くんのほうがその単語がぴったりだと思う。
「好青年」「王子様」
千歳はそんなイメージだ。
「ふーん……?昔は活発だったんだね?」
そう言った私に「フフッ」と馬鹿にしたような含み笑いを浮かべたのは史緒くんだった。



