なんだかいじけてしまっている琥太郎くんが可哀想になり「えっと、琥太郎くんも制服似合ってるよ!」と声をかけた。
その瞬間、彼の表情がパァッと明るくなる。
「立栞先輩ありがとうございます……!ていうか、先輩こそ制服めちゃくちゃ似合ってますよ!白セーラーもいいですけど、ブレザー似合います!可愛いです!!」
お世辞なのはわかっているけれど『可愛い』と褒められれば、悪い気はしない。
「あはは。ありがとう……」
少し照れながら小さく笑みをこぼした、その時。
「立栞、俺は?」
いつの間に背後に立っていたのか千歳が爽やかな笑みを携えて私に声をかけてくる。
この人、本当に気配消すのうますぎるでしょ。
「まぁ、似合ってるんじゃないかな……?」
「ふーん……。じゃあ、琥太郎よりも?」
「……?」
いったい彼は、私に何と言って欲しいのだろう。
あまりにも意味がわからない質問に私が小さく首をひねる。
そんな私達のやり取りをキラキラした瞳で見つめた理事長が「そう!これが青春なのよ〜!共学の醍醐味よね!!」と小さく叫んだのだった――。



