そして、苦笑いを浮かべた時だった。
「キャッ……。な、なに!?」
「じゃ。無事に自己紹介も終わったし、行こうか」
突然、サッと近づいてきた千歳にガシッと手を掴まれる。
……!?
私だって、合気道の有段者だ。
それなりに鍛えているし、反射神経だってわりと自信はある。
でも、今は彼に手を掴まれるまで反応ができなった。
驚いて固まってしまう私をよそに。
「千歳、早く戻ろう。用があるのは彼女だけなんだし。連れて帰ればミッション終了」
「……つか、俺はまだ納得してねーから!来年から共学になるのなんて……。何が楽しくて女と一緒の学校に通わないといけないんだよ」
「え!?史緒先輩、女の子がいたほうが華やかになっていいじゃないですか!俺はめちゃくちゃ賛成ですけど」
三者三様の反応を示す城月兄弟と琥太郎くん。
「あなた……。本当に何者なの?」
私はそんな彼等を横目に、真剣な表情で千歳に向かって問いかけた。
「黒涼高校生徒会」
「え?」
「俺達は、黒涼高校特進科の生徒。そして、新しく発足された生徒会のメンバーだよ。ちなみに俺が会長。改めてよろしくな立栞」
「……はい?」
思わず、間の抜けた返答をしてしまった私の声が生徒会室に響く。
そんな私を、終始余裕そうな表情で見据える千歳に心の中で大きなため息をこぼしたのだった。



