思わず期待を込めた瞳で史緒くんを見つめていると。
「は?何……?こっち見てんなよブス!」
冷たい声でそう凄まれてしまった。
怖っ……。
顔が綺麗だと迫力が増すのね……。
「ちょっと史緒先輩!立栞先輩に失礼ですよ。全然ブスなんかじゃないですし!むしろ可愛いじゃないすか」
「ハァ……。お前は女なら誰でも可愛く見えるんだろ?つか、俺が女装した方が何倍も可愛いつーの」
「うっ、そう言われると……」
グッと押し黙ってしまう琥太郎くんに対して「そうだろ?」と自信満々に返答する史緒くん。
いや、まぁ……。
確かに彼が女装したら確実に負けるとは思いますけど、本物の女子としてはちょっと悲しいものがある。
私の容姿は、まぁよくも悪くも普通といった所。
身長は158センチ。
髪は肩より少し長い黒髪で、若干毛先はクセでカールしている。
瞳も奥二重で、パッチリ二重の城月兄弟と比べると見劣りしてしまうだろう。
「立栞先輩、すみません……!でも、俺は先輩のことめっちゃ可愛いと思います!」
言い負かされた琥太郎くんは悔しそうに拳を握りしめながらそう言い放った。
「あはは。ありがとう……」
若干、複雑な気持ちになりつつも、庇ってくれた彼に私は小さくお礼を言う。



