黒涼の理事長から直々に依頼……?
いち生徒に理事長自らそんな依頼をするだなんて、よっぽど彼のことを信用しているのだろうか。
是沢千歳……。いったい何者なの?
訝しげに千歳を見据えていた時だった。
「あ!千歳先輩いた〜!史緒先輩、伊緒先輩……!千歳先輩を発見しました。よいしょっと……!しつれいしまーす」
生徒会室の窓をヒョイっと飛び越え、元気よく入ってきた1人の男子に私の目が点になる。
明るいグレーアッシュの短髪に、キリッとしたツリ目がちの一重の瞳。
身長は170センチくらいだろうか?
健康そうに日焼けした肌からは、活発そうな印象を受ける。
「琥太郎、遅かったな」
千歳に"琥太郎"と呼ばれた彼もまた、黒涼高校の制服を着ていた。
「"遅かったな"じゃないっすよ!千歳先輩が急に消えるから、俺、めっちゃ探したんですよ!伊緒先輩、史緒先輩をなだめるのどんだけ大変だったか……」
ハァと、肩を落とし、千歳に詰め寄る琥太郎と呼ばれている彼。
それにしても……うちの学校、セキュリティ甘すぎじゃない?
いとも簡単に他校生が侵入してきている現状に私は頭を痛めてしまった。



