「⋯⋯南翔をとめたかったの」
意を決した様子でギュッと拳を握りながら、心葉さんはポツリとつぶやく。
「⋯⋯私、この前あなたを捕まえるって話を南翔と体育科の人が話すの偶然聞いちゃって⋯⋯。でも、そんなことしてほしくなくて⋯⋯。もちろん、あなたを助けたら南翔を裏切ることになるってわかってた。っ、けど、私⋯⋯」
そこまで言い切った彼女の瞳にぶわっと涙がたまった。
ぽろぽろと堪えられなくなった涙が心葉さんの頬をつたって流れていく。
「わ、心葉さん⋯⋯!これ使って」
私はとっさにポケットからハンカチを取り出し、彼女に差し出した。
そっか。心葉さん、本当に心の底から南翔くんのことが好きなんだね。
だから、彼がやろうとしていることを止めたかった。
たとえ、そのせいで自分が嫌われたとしても――。
「⋯⋯ありがとう」
鼻をすすりながらハンカチを受け取ると、ゆっくりと涙をぬぐう心葉さん。
「それに私ね、南翔だけじゃなくてあなたにも傷ついてほしくなかった。⋯⋯だって、あなた優しいもん。あのカフェで、私に一緒に帰らないって声かけてくれたでしょ?⋯⋯本当に嬉しかったんだ」
泣き笑いの顔でお礼を言う心葉さんにキュッと胸が締め付けられた。
心葉さんの気持ちをムダにしたくない。
そのためには、南翔くんが行動を起こす前に止めないと!
「ねぇ。心葉さん、私も南翔くんを止めたいと思ってるの。さっき南翔くんが私を捕まえようとしているのを聞いたって言ってたけど、他に何をしようとしているか、もしかして知ってる⋯⋯?」



