「……それは無理。私は、白浪女学院の生徒会長だもの。いちばん大事なのはうちの生徒たちだから」
言葉を選びつつ、慎重に返答する私。
「まぁ、今はそれでいいし。おいおい話し合おうか。さてと、予定変更。立栞だけでも体育科に連れてくよ」
南翔くんの命令で、体育科の面々の顔つきが明らかに変わった。
先程までのヘラヘラした様子から一変、まるで獲物を狙うハイエナのようにギラギラとした視線を私に向けてくる。
おそらく私の身のこなしを見て、警戒をしているのだろうが、ジリジリと間合いを詰めてくる複数人を相手にするのはさすがに分が悪い。
緊張から、ゴクリと息を呑んだその瞬間。
南翔くんの瞳ががキラリと怪しい光を帯びたのを私は見逃さなかった。
っ、来る!
直感的にそう悟ったのもつかの間、3人の体育科の生徒が私に向かって3方向から飛びかかってくる。
先ほどの敗因を生かしてか、今度は直線的に飛び込んできたりしない体育科の生徒たち。
統率の取れた動きには、私も肝を冷やす。
「……っ、はぁ」
間一髪、かわすことに成功したがこれじゃ、ジリ貧。
体力を徐々に削られて最後には捕まってしまうのが目に見えていた。
「へぇ〜。やっぱり立栞すごいよ!今のもかわすんだ」
まるで、値踏みでもするような南翔くんの視線にゾクッと悪寒がはしった。
そして。
「フッ。お前ら下がれ。俺が捕まえる」
「は、はい」
南翔くんの指示で、私の周りを囲んでいた体育科の生徒が一斉に後方へと下がる。
どうして?
体育科の生徒を複数人相手するよりも、南翔くん1人を相手にするほうがラクなはずなのに。
なぜか、より危険な気がして私は、小さく息を呑むと、少しずつ後ろへ下がった。



