近くにいた有紗と美心に小声でそう告げる。
最初は戸惑っていた2人も私の真剣な表情にコクリと小さく頷いた。
皆は、2人に任せておけば大丈夫。
あとは……。
対面でニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる体育科の男子生徒をジッと見つめる。
今日が執事服でよかった。
だって、スカートよりもだんぜんズボンの方が動きやすいもんね。
その時、美心がソロソロと後ろに下がり、白浪女学院の生徒達に私からの伝言を回してくれている姿が視界にはいった。
「残念だけど、南翔くん。体育科の校舎に皆は連れていけない」
南翔くんに悟られないよう、私に注意が向くようにと彼に向かって言い放つ。
「そう?残念だなぁ……」
口ではそういいながらも、全然残念そうなじゃない南翔くん。
あいかわらず何を考えているのかわからない彼が1番不気味に見えた。
「でも、立栞たちに拒否権はないんだよ。ごめんね?これも俺の計画のうちだからさ」
クスリと彼の綺麗な口もとが三日月の弧を描く。
そして、南翔くんが、体育科の生徒に指示を出そうと後ろに気を取られた一瞬の隙を私は見逃さなかった。
「……有紗、美心!!」
「わかってる!」
「はいっ……!皆、こっちです!」
私が名前を読んだことをきっかけに、有紗、美心を先頭に白浪女学院の生徒達が一斉に私達の背後にある奥の扉へと駆け出したのだ。
「ちょっ、おい!お前ら……、ま、てっ!?」
予想以上に連携が取れた動きに、体育科の生徒は呆気に取られている。
しかし、その中でも追いかけようとする体育科の生徒が数名いた。



