「特進科のカフェが1番人気だったんじゃない?」
有紗の言葉に私も「そうかも」と素直に頷いた時。
「立栞会長〜!そろそろ他のクラスも見て回りたいでーす!」
元気よく周りの皆を代表して美心がそんな声をあげる。
「そうだね!えーっと、もうちょっと待ってて。もうすぐ史緒くんと伊緒くんが護衛に来てくれるの。2人が来たら他のクラスも回る予定だから……」
ガラッ――。
私の言葉を遮って開いた空き教室の扉。
ウワサをすれば史緒くん達かな?
……え?
てっきりカフェの仕事を切り上げた史緒くん達が迎えに来てくれたのだと思ったのだが……。
扉の前に立つ人物の姿を視界に捉えた瞬間、私はピタリと固まってしまった。
「あ!立栞、見つけた。てか、それ執事?カッコいいね」
「な、んで……あなたがここに?」
にっこりと人当たりの良い笑みを浮かべる彼は、私に向かって嬉しそうに手を振る。
「探したよ、立栞」
「南翔くん……」
そう、そこに立っていたのは、今日、黒涼祭に参加していないはずの彼。
澄川南翔と、その後ろに控えた数名の体育科の生徒達だった。



