「おばさん、ハリキリすぎだろ……」
史緒くんはげんなりとした様子で呟いている。
「まぁまぁ、史緒先輩。せっかくのお祭りなんですし、いいじゃないですか」
「琥太郎はあの人が身内じゃないからそんなこと言えるんだよ」
「あ、あはは……。それはそうっすね」
せっかく理事長のフォローに回った琥太郎くんも、鋭い史緒くんのツッコみに最終的には苦笑いを浮かべる始末だ。
「立栞も。そろそろ着替えないと黒涼祭始まるぞ」
「ほんとだ!うん、準備してくる」
千歳の声かけにコクリと頷いた私は、史緒くんが作った執事服に着替えるため、空き部屋へと足を踏み入れたのだった。
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「はわわ……。立栞会長、すっごくステキです〜」
「ほんと〜!立栞ってば男装もめちゃくちゃ似合うのね!」
目をキラキラとさせてはしゃいでいるのは美心。
そして、隣で驚いたように目を丸くしているのは有紗だ。
「会長カッコいい……!」
「その辺の男子なんか目じゃないですっ!」
周りにいた白浪女学院の生徒数名も頬を赤らめて私を見つめている。
「そ、そうかな?皆ありがとう」
黒のウィッグを被り、黒のタキシードに身を包んだ私は、はにかみながら声をかけた。
現在、時刻は12時。
場所は黒涼高校生徒会が所有している空き部屋だ。
当初の予定通り、生徒会メンバーである有紗、美心を中心に他数名の白浪女学院の生徒達が黒涼高校へやって来ていた。



