そうだよね。皆の言う通り、せっかくのお祭りだ。
楽しまないとだよね。
少し不安は残るものの、白浪女学院の生徒を黒涼祭に呼ぶ件は、とりあえず私から美千子理事長に相談してみよう。
やっぱり、まずは生徒会メンバーの有紗と美心を呼んで様子を見たほうがいいだろうし。
「ねぇ、皆、実は、黒涼祭に白浪女学院の生徒会メンバーを招待しようと思ったんだけどどうかな?」
「は?俺は、絶対反対っ!」
1番最初に反応したのは、史緒くんだ。
嫌そうに顔をしかめる彼に私は苦笑いを浮かべる。
やっぱり、女嫌いの史緒くんのことだ。
絶対嫌がると思った。
でも……。
「いいっすね〜!!女の子が来ると盛り上がりますよ〜。俺も杏花呼ぼうかな」
「まぁ、いつかは白浪の子にうちを見に来てもらわないとだったし。いいんじゃない?ねぇ、千歳」
「……そうだな。まぁ、数人程度だったら俺達で守れる。現状、体育科は参加する様子がないみたいで安心はしてるけど」
史緒くん以外のメンバーは概ね賛成みたいで、私もホッと胸を撫で下ろす。
ちなみに、その後の史緒くんはと言うと。
「……ふんっ。勝手にすれば?」
機嫌悪そうにいじけてしまったが、千歳効果かそれ以上反対することはなくてひと安心だ。
とりあえず、2人にも早速連絡してみないと……!
スマホを取り出し、ウキウキした気分で私は有紗と美心にチャットでメッセージを打つ。
最初は絶対に反対だった統合の話も、ここ最近少しずつだけど、トレード留学を通して気持ちが変わっている自分がいることに気づいていた。
2人にも黒涼高校のことを知ってもらいたい。
そんな思いで彼女たちを誘った黒涼祭。
けど、2人を呼んだことを後悔する事件が起こるなんて……。
この時の私は、まだ予想もしていなかった――。



