自信満々な史緒くんから手渡された衣装を受け取り、私は「あ、ありがとう……」とお礼を述べた。
メイド服よりはまぁ、私的にはこっちのほうがいいかも。
「ってことは、立栞先輩は男装ですね!似合いそうっす」
「……そうかな?ありがとう」
琥太郎くんにほめられて、ちょっと照れてしまう私。
「まぁ、史緒の言う通り、今さら衣装を作り直すのも難しいだろうし当日は、これでいくしかないか……」
「ハァ……。史緒、今度覚えときなよ?」
千歳と伊緒くんも諦めたように各々、言葉を紡いでいる。
伊緒くんにいたっては若干脅しが入っているような気もするが、さすがは双子の弟。
私だったら凍りついてしまいそうな笑みを浮かべている伊緒くんに対し、史緒くんは素知らぬ顔だ。
「大丈夫だよ、2人とも。そんなに心配しなくても当日は俺が可愛くしてあげるからさ」
「先輩!俺も!先輩たちばっかりじゃなくて、俺も可愛くしてくださいよ!」
「ん〜……。まぁ、努力はするけど。素材がなぁ〜」
「史緒先輩、俺そこまでひどくないっすよ!」
なんて、いつもの琥太郎くんと史緒くんのコントみたいなやりとりを見つめ、私はクスッと笑みをこぼす。
黒涼祭まであと1週間。
本番はどんな感じになるのだろう。



