「あ!私、生徒会室に忘れ物しちゃった。取りに行ってくるから、有紗は先に戻って先生に言っておいてくれる?」
「うん。わかった」
「立栞会長、有紗先輩。私も自分の教室に戻りますね!また放課後生徒会室で!」
素直に頷く有紗と、元気よく自分の教室へと戻る美心を見送って私は1人生徒会室へと向かう。
カチャッ。
生徒会室の扉を開き、中に入った瞬間。
「ハァ……。どうしよう」
小さく呟き、私はヘナヘナとその場に座り込んでしまった。
2人の前では、強がってみせたが、これでも内心かなり動揺していたのだ。
私立黒涼高校。
白浪女学院から徒歩15分。
橋を渡った川向こうにその高校はある。
成績は中の下くらいらしいが、白浪女学院の偏差値と比べれば雲泥の差。
さらに、噂程度にしか知らないけれど素行が悪い生徒が多いともっぱらの評判。
もちろん、全員が全員そういうわけじゃないのだろうけれど……。
そういえば、最近、特進科ができたって聞いたような気がする。
いくら特進科ができたからって、早々学校の雰囲気が変わるわけはないだろうし。



