「人の心分からないとか言いながら、実は心を読めるの?」
 私は林太郎の気持ちこそ知りたい。
 彼は私の今まで生きてきた常識では理解できない人だ。

「心なんて読めないよ。きらりの気持ちいつも知りたいと思ってる。きらり、アメリカをどんな国だと思ってるんだよ。行ったことないの?」

「グアムには行ったことあるよ。友達の結婚式で⋯⋯ハワイには行きそびれたかな」

 私は雅紀にハワイのアロハチャペルで結婚式を挙げるのが夢だと伝えてたのを思い出した。
 それなのに、彼はそこでルナさんと結婚式を挙げた。

 私は気がつくとまた林太郎にディープキスをされていた。

 私はそっと彼を引き剥がしながら、震える声で伝えた。

「確かに今元彼のこと思い出したのは認めるけど、ディープキスはダメだよ。せめて軽いキスにして」

「気持ちいいから、ダメなんだよね」
 彼はそういうと軽いキスをして私から離れた。
(どうしよう、これも気持ちいい⋯⋯)

 彼に全てを見透かされているようで、私は恥ずかしくて仕方がなかった。

「じゃあ、俺と結婚してハワイで挙式しよっか。ハワイで結婚式したいんでしょ」

 冗談のような提案に困惑した。
(私のこと好きじゃなくなったって、告白を撤回したばかりじゃない!)

「結婚式なんて一生に一度のものは、本当に好きな人とするべきだよ」

 私の言葉に明らかに彼が不機嫌になるのが分かった。
 私の方こそ彼の心が読めれば良いと思った。