恋と、涙と、先輩と

無理だと諦めていたのに、あっくんと…夏祭り!


〈…行く!わたし、行きたい!〉

〈じゃあ、神社集合な〉


そうして、わたしは電話を切った。


「よかったな、藍原」


隣にいた羽賀先輩がわたしの顔をのぞき込む。


「はいっ。でも、どうして羽賀先輩はドタキャンってことにしたんですか?」

「だって、もともとそういう計画だったし。それに初めに俺とまわってたって敦が知ったら、なんかいい気はしないだろうしさ」

「…そういうものですか」

「うん。だから、藍原は今初めてきた感じで、敦と祭りを楽しんだらいいよ」


先輩はそう言って、わたしを神社の入口の鳥居のところまで送り届ける。


「藍原と敦がうまくいくことを祈ってる」

「ありがとうございます…!」


わたしは先輩を見送った。


そのあと、私服姿のあっくんがやってきた。