恋と、涙と、先輩と

『そうだよ。俺の彼女』


羽賀先輩がああ言ったときは驚いた。

冗談を言う人には見えないからこそ。


そのあとは、わたしたちは買ったかき氷を持って、人混みから外れた大きな木の下にやってきた。


「こぼれなかった?」

「なんとか大丈夫です」


羽賀先輩はブルーハワイ。

わたしはいちごのかき氷を食べる。


夏祭りにきてまだ1時間もたっていないけど、わたしは十分に満喫していた。


羽賀先輩が誘ってくれてよかった。

沈んでいた気持ちも少しは紛れた。


「藍原、次はなにする?」

「そうですね――」


食べ終わったかき氷の容器をゴミ箱に捨てていたとき。

巾着に入れていたわたしのスマホが震えた。


もしかしたら、『何時に帰ってくる?』といったお母さんからの電話かもしれない。


「俺のことは気にしないで」