恋と、涙と、先輩と

「…もう持ってこないようにって」

「あ…うん。…わかった」


なるべく顔を合わさないようにして、わたしは自分の席へと戻った。


わたし…、普通に話せてたよね?

…変じゃなかったよね?


平静を装ってはいるけど、心臓はバックバクと暴れている。


――すると、かすかに笑い声が聞こえた。


「見た?今の」

「見た見たっ。敦ももう少しリアクション取れねぇの?」

「…いや。オレはあれが普通だから」

「うそだ〜。お互いに意識してただろ〜」

「バカ…!違ぇよ!」


冷やかされて顔が赤くなるあっくん。

その周りにいる男の子たちは、わたしのことをチラチラと見ながら小声で笑っている。


な…なに…?

…わたし、なにかした?


その理由は、放課後にわかる。

掃除を終え、帰ろうとしていたとき。