恋と、涙と、先輩と

必然的にあっくんと話さなければならなくなった。


どうしたものかとため息をつきながら教室へ戻ると、何人かの男の子と話しているあっくんを見つけた。


素直に、先生からと言って直接手渡す…?

それとも、無言であっくんの机の上に置いたほうがいい…?


悩んでいると、あっくんのそばにいた男の子がわたしに気づいた。


「…あっ!藍原さんが持ってるそれ、敦のじゃん!」


予期せぬ展開に、わたしは驚いて肩をビクッとさせる。

あっくんも声に反応して、わたしのほうに顔を向ける。


…あっくんと目が合う。


1秒にも満たないわずかな時間だけれど、ものすごく気まずかった。


「こ…これ、先生があっくんに返すって…!」


意を決したわたしは、その場の流れであっくんのところへ向かうと机の上にマンガを置いた。