恋と、涙と、先輩と

そんなふうに、何事もなかったかのように接するのもアリかもしれない。


しかし、わたしは遠めから曲がり角を曲がるあっくんを見送った。


…ダメだ。

声をかけられない。


昨日のことをなかったように振る舞うなんて…できるわけがない。


そのあと学校へ着き、行きたくもないけど教室へ向かった。

あっくんに気づかれないようにそっと後ろのドアから入って、静かに自分の席へ座る。


たったこれだけのことで、どっと疲れてしまった。


同じ教室のはずなのに、昨日とは違って見てる。

好きな人がすぐ近くにいる空間…ではなくて、今のわたしにとっては逃げ出すことのできないただの箱。


1限から4限までは何事もなく過ごす。


しかし、お昼休み。

たまたま職員室の横を通り過ぎたときだ。


「藍原さん!」