白い空をまた君と見たくて

小学生の頃、私は、陸上を少しかじっていた。
かじっていたといっても、学年の女子で2位だったため、そこまで速くもない。

それでも、楽しかった。


『えー、お前今日転んだの?あははっ!馬鹿なの?運動音痴なの?どっち?』
『う、うるっせぇ!サッカーゴールに引っかかっただけだ!』
『……サッカーゴール出したの、今朝の君だろ……邪魔なのに……』
『何っ?!…そういやそうだった』

ぎゃははははは、そんな笑い声がグラウンドに響く。

『はいはい、静かにする!ほら、ハードル片付けるよ!』
私の言葉に対し、残っていた男子の何人かがまばらに返した。

『あいよぉ!』
『うーっす』
『うぇーい』
『うぇーいって、返事なのかな……』


毎日毎日、朝休みと放課後を使い、走り続けて。

最終下校時刻の放送が流れ始めたら、片付けをしてそのまま着替える。

更衣室も無かった当時、男子が気を使って防災倉庫の裏を空けてくれていた。
時には覗こうとした不届き者もいたけど、男子同士でお互いに注意しあってくれてた。

夕焼けに光る校舎を背にして、てくてくとみんなで歩いて下校。
放送で流れる歌を誰が一番うまく歌えるのか、なんて、しょーもないことをする。

『たーだしーさをーべーつのーただーしさでー』
『失ーくすー悲ーしみーにもー出会うけれど?』
『月野、歌うっま⁉』
『さすが、〇〇小の歌姫』

褒めてくれる男子たちの言葉に照れを隠せない私は、頬を抑えながら返した。

『みんな得意なことが違うだけでしょ……。てか、この曲流れたってことは急がないと校門閉まるよ』
『やべーじゃんっ?!』
『囚われの身になりそーな放送委員を助けに行かねば!ってコト!?』
『閉じ込められても抜けられる道、知ってんの俺らだけだしなー』
『……あれ、そーいえば、りぃがいないんだけど?』
町野(まちの)は帰ったぞ今日は』

ふーん、いつも最後までいる彼女がいないなんて、珍しい。
呑気にそう考えて、あの日、帰ってしまったのが、間違いだった。