痛い。 痛すぎる。 あの出来事から10分後、私は女子トイレに来ていた。 先ほどまで出血していた中指には、真新しい絆創膏(ばんそうこう)。 そして膝(ひざ)の内側にも、昨日までなかった傷があった。 「人の中指をシャーペンでえぐるとか…いい神経してるよ…」 一人で消毒液やハサミやらを片付けながら、私はつぶやく。 そう、あの時私は永嶋さんに、中指を思いきりえぐられたのだ。