「はるちゃん…!」 下駄箱にいる彼に私は飛びついた。 「!…っと、危ねぇぞ、走って来るなんて…って、なんかあったか?」 背中側に回り、彼の左手とシャツをちょんっと引っ張る私。 それを見て、彼は何かを察したらしい。 彼の視線がゆっくりと降りて、手の甲に行く。 スッ、と目が細められた。 「自分をそう傷つけるな…。消毒しておけ」 低く落ち着いた声は威圧感を与えず、優しく私の胸に染みいる。