全然この状況に頭も追いつかないけど、麗華という言葉が出てきて心の中にようやく、すとんと落ちた気がした。
そう、だよね。私が期待なんかするからいけなかったんだよね。麗華に奪われることなんか昔から何回も何回もあったのに。
私の大切にしたいものが、麗華に奪われないわけがなかったんだ。
そりゃあ地味で可愛くない私より華やかで可愛い麗華を選ぶ、よね。
心と脳の中心のような部分から熱が引いていくのを感じた。さっきまで心地いいと思っていた寒さは、とっくに氷のように私の体と心も冷やしていく。
「分かった。弘樹くんがそうしたいなら、いいよ」
やめて、行かないで。俺はそうしたくないって、言ってよ。
本当はそうやって叫びたい。



