「ひえ、刺そうと……」
「うん、そんな珍しい話じゃないよ?」
とても生死に関わる話をしていると思えないような笑い方でケラケラと笑う彼。
……そんな世界に生きているのに笑えるということは、どのくらいの苦行に耐えてきたんだろう。
その瞳の奥には私には想像できないほどのものが詰まっている気がした。
「うん、でさ、咲良」
ずいっ、
「否定、しなかったね」
「っあ、」
目の前には妖しげにこちらを見据えている黒羽さんの真っ黒な瞳。
その後ろの耳には逃がさない、とでも言うように黒色のピアスがきらん、と輝いて。
やられた……!
かまをかけられたんだ……!



