……不思議。
この人の『怖くない』っていう言葉はものすごい説得力がある。
すうっと薬を飲んだような感覚になって、次第に呼吸も落ち着いて震えも収まっていった。
「えっと、帰る場所はないん、ですけど、……あ」
━━━━━1つだけ、あった。
実の家に帰ること。
でも今あの家に帰っても、前みたいに家政婦のような扱いを受けるだろうし1度家を出ていった私は以前にも増して酷い扱いを受けるだろう。
……嫌だ。
あんな生活、もう二度と送りたくないよ……。
でも……、
「く、黒羽さん……」
「ん?」
「……私、やっぱり帰れる場所ありました」
「……ふーん」



