「あ、そーだ」
なにかを閃いたように再び瞳に興味の色を取り戻した黒羽くん。
気分屋だな、なんて思ってると、ベンチに傘を立てて私が雨に当たらないようにしてくれた。
突然のことに驚いて言葉が出なくなってしまう。
「これ持ってて」
「ちょ、さっきもいいましたけど黒羽さんが濡れちゃうからだめです」
「俺がそうしたいからいーの」
そう言ってどこかへ歩いていった黒羽くん。
私みたいな取り柄のない子をわざわざ助けるなんて優しい人、なのかな。
いや、違う。
クラスの女の子たちが『黒羽くんは気分屋だから運によっては相手をしてもらえる』と話していた。
これは絶対気分だ……。



