「……あ、ほんとだ」
ななちゃんの指が指した方向には綺麗な黒髪と真っ黒なタキシードがよく映える朝光くんがいた。
周りにはたくさんの女の子がいて、どの子にも笑顔で対応してる。
かっこいいな、と思ったのと同時にズキ、と黒い感情が渦巻いたのは見て見ぬふり。
「ななちゃん!私あれ食べたい……!」
「お、いーね。行こ!」
うん、そうだよ。昨日全然食べられなかったビュッフェを食べることを楽しもう。
「んん、ななちゃん!これおいしいよっ」
「おいしそうに食べるねぇ、」
たくさんの人が集まるからか、量はたくさんあってどれも絶品。
今日まで不幸続きだった心に幸せが詰め込まれていく感覚がする。
……視界の端の朝光くんにはもちろん見ないふり、だけど。