「あと俺のこと仕事風に装って呼びつけんの辞めてくれる?」
強く言わないとコイツは多分分かんねーな、と、敬語を外して少し威圧する。
さっきまでの薄っぺらい笑顔を消して、目を端をほそめて。
するとビク、と体を震わせた女。
取引先の令嬢だから、こんなことをしたら契約を切られるかもしれないけど、それすらもどうでも良かった。
多分こいつはこれからもう俺のことを呼びつけたりしないだろうから、それだけで俺は満足。
あー、マジで無駄な時間過ごした……。
時計を見ると、現在21時30分。
……女と話し終わったら帰っていいって言ってたから、時間あるしこのまま会場に向かうか。
半分こじつけのような理由を頭に並べながら、広い屋敷の門へ向かって井口の車に乗り込んだ。



