こうしているだけで視界が遮断されて何も考えられずにいることができた。
これ以上なにも、考えたくない。
そう思ったときだった。
ふっ、と雨が止んだ。
服に当たっていた雨の冷たい感覚がなくなった。
こんな、急に止むものなの……?
それとも伏せている間にすごく時間が経っていたとか……?
おそるおそる顔を上げてみる。
「だいじょーぶ?」
「……」
驚きすぎて声が出なかった。
そこにいたのは、私のクラスにいるとてつもない有名人だったから。
「無視、か。俺、女に無視されたの初めてかも」
すうっと瞳を細めて、感情の読めない笑い方をする彼。
━━黒羽朝光くん。
うちの学校で知らない人はいないほどの有名人。



