最強総長は虐げられた姫が可愛くて仕方ないらしい。




「っふ、ううっ、」



人気が少ないのが幸いだったと思う。

私は涙腺が壊れてしまったみたい。
廊下で立ちつくしたまま涙が、止まらなくなった。


涙が滲む視界の端で、弘樹くんが困惑して私を見ていることに気づく。


でも、そんなのもどうでもいいと思えるくらいに私の心は壊れかけていた。



さすがにこのままでずっといるわけには行かないので、働かない脳で足に命令して、廊下を泣きながら静かに歩き出す。


すると、パシっと手首を掴まれた。



「なあ、咲良。都合のいいこと言ってるって分かってるんだけど、俺とやり直さないか?咲良と別れたあと、麗華の本性が分かって、最近別れたんだ。お願いだから、もう一度チャンスが欲しいっ……!」


必死に訴えかけてくる弘樹くん。
その思いの強さを示すように、私の手首を握る力は前に握られた時よりずっとずっと優しい。


でも、私は……

「ごめんね、弘樹く……」


「返事は今じゃなくていいから!明日の8時、ハウヴァーツ・クロックの前で待ってる」