いやいや、きっと朝光くんがそのジンクスを知らないだけだよね。

思い上がっちゃダメだ、と自分に言い聞かせる。


私の返事を聞いた朝光くんは、本物の王子様がやるみたいに、わたしの腕を引き寄せて手をぎゅっと握ってから、手の甲に唇を落とした。



「えー、ていうかおれ咲良のドレス姿見られてんのやなんだけど」


「ふふ、多分わたしのこと見てる人いないよ」


「……はぁ、無自覚すぎ」


あきれたようにため息を疲れて、じと目で見られる。
でもそのあと、何が面白いのか口角を上げて。



「このあと、俺にゴホービちょーだい」


「う……」


そんなことを言ってくるから、意味を理解して顔が赤くなってしまう。


でも今日はたくさんお祝いしてもらったし、朝光くんの言うことはなんでも聞きたいっていう気持ちが自分にはあって。



「ご主人様の言うことは絶対、でしょ?」