小さい頃、よく座っておやつを食べていたベンチに座る。
座る部分に手を滑らせて撫でると、古い木の感触が伝わってきて時間が経ったことを認識させられる。
小さかった頃はツルツルだったのに。
7年くらい前かな。そこから私はなにか変われたのだろうか。
座っていると痛かった頬の痛みもだんだんひいていった。頭の痛さは相変わらずだけど。
冷たい風が目の前を吹き抜けていく。
寒……。上着も持ってこなかったから真冬の寒さには耐えられない。
なにかないかと視線を落とすとマフラーが目に入った。
弘樹くんにあげようとしていたことを思い出してしまう。
何してんだろうって思いながらとりあえず首に巻き付ける。寒いから背に腹はかえられない。



