「咲良、ただいま」
「あ、朝光くん。おかえり……!」
上から私を呼ぶ声が聞こえた。
真っ黒な瞳と目が合ったことが嬉しくて、にこっと微笑む。
2週間前は、まさかこんな家族みたいに''ただいま''、''おかえり''って言い合える人ができると思わなかった。
……家族、なのかなぁ。
自分で考えたことだけど、''家族''っていう言葉は、私たちのカンケイを表すにはちょっと違う気もする。
課題も相まって、もんもんと悩むわたしを見てクスリと笑った朝光くん。
「ね、咲良。このあとちょっと連れ回していい?」
かと思えばそんなことを言われて。
ネクタイを緩めながら、妖しく目を細められれば、頷かないわけがなかった。
「いい、けど……。どうしたの?」
「んー、お楽しみで」



