「もっと咲良は、咲良のことを大事にしろ」
目の前には真剣な瞳だけど、なぜかちょっと苦しそうな朝光くん。
私の胸もきゅう、と締め付けられた。
「っ、あれ……」
はら、となぜかも分からない涙が出てくる。
ぴん、と張っていた心の糸が切れる音が脳に響いて。
「……咲良、?」
「っうう〜、ちがうの。悲しいんじゃ、ないの……」
きっと、幼少期から麗華や親に無理やり張られた糸を、朝光くんが切ってくれたんだと思う。
今の私は、抑えられていたものから解放されたような体の軽さがあった。
''嫌なことをされたら怒っていい''
他の人が聞いたら当たり前の言葉かもしれないけど、私の耳には強く強く残って。
そんな私の止まらない涙を、細長い指で優しくすくってくれる朝光くん。
「っ、」



