握っていた咲良の手をそっと離してベッドからおり、咲良を襲いたい衝動を消すために頭をぐしゃぐしゃとかいた。
咲良が「行かないで」なんて言うから取りに行けなかった水を飲んで膨張した熱を無理やり冷ます。
あー、なんであんなに可愛いんだろう。
決して本番をしたわけじゃない。白い太ももを軽くなぞっただけ。
なんでキスで止まったんだろう、と自分でも不思議に思う。
いつもだったら絶対に最後までしていた、のに。
それなのに今までにないほど俺は興奮しているから、おかしい。おかしすぎる。
あいつの唇に毒が塗ってあった、とか。なんて馬鹿なことを考えてしまう。
気を逸らすために書斎から数冊参考書をとって寝室に戻り、ベッドの横の机で勉強を始める。
隣には咲良の寝顔があるからあんまり集中できないけど。
次期後継者としての勉強は、決して楽じゃなかった。経済の仕組みから、人の精神の仕組みまで、全てを網羅しなければならない。
ここが、俺の唯一の誤算。



