最強総長は虐げられた姫が可愛くて仕方ないらしい。




車内でタオルを目にかけて休んでいた俺に運転席から井口の声がかかった。


「お休み中、失礼します。今日の咲良さまですが、私物のジャージを他人にひどく汚されておりました」


「……は、詳しく言え」


「申しわけございませんが、私は泣きそうになっている咲良さまと、お汚れになったジャージを洗濯するということしか分かりません」



「やったのは誰だ」


「詳しくは分かりませんが、咲良さまがこちらに向かってくるとき、麗華という女が咲良さまになにかを囁いてから、明らかに様子が変わられました」


双子の妹の、あの女だな……。

なんとなくだった咲良の境遇が明確に見えてきた。

だから、悪口も広めてたのか。


チッと隠すこともせず舌打ちをする。