「帰るとこ、あんの?」
ただの気まぐれで、ずぶ濡れの咲良に聞くと、ひどく儚く無理をしたような笑いをした。
「帰るとこなんか、ないです」
そのまま倒れてしまった咲良。
そのままにしておくわけにはいかなかったから、井口たちを呼んで、とりあえず俺の家にいれた。
そのままゆっくり眠り始めたから、その寝顔を見つめていると、急に呻き声とともに涙が滴るのが見えた。
「……、咲良?」
「っう、ごめんなさい……、お父さん、お母さん。麗華……、もう、殴らないでください……」
苦しそうにうなされている咲良。
起きてるか、と思ったけど目は固く閉じられていた。
彼女の言葉から悪夢を見ているのだと推測できる。
なんとなく咲良の家の事情が理解できた気がした。



