それだけがちょっと面倒だったけど、凪たちと絡んで遊んだり、巷で喧嘩したりするのがたまらなく楽しかった。
その時間が、永遠に続くと思っていた。
なのに━━━━、
「は……?」
「何度も言っているだろう。あのバカは海外に失踪した。これからは朝光。お前が当主だ」
兄が、海外に逃亡した。
『ごめんなさい。俺にはできません』
そんな置き手紙を1枚残して。
高校生になった兄は、本格的に跡取りとなるための実習をやらされていたみたいだから、きっとそこで自身の背中に背負っている大きすぎるものに怖気付いたんだろう。
……あんたも、結局怖がってただけだったのかよ。
俺を殴っていたのも、きっと怖さの裏返し。
「ふざけんなよ……」
俺の掠れた声は空気中に溶け込んで消えていった。、



