どんどんひどくなっていく兄の暴力、暴言。
親達も見て見ぬふりをしていて。
俺のことは兄の''ストレス解消道具''としか見てなかったんだろう。
小さい頃からそんな生活だったから、感覚が麻痺してしまって痛みすらも感じなくなった。
でも、ちょっとの暴力や暴言に耐えるだけで、あとは自由だったから、別にその生活は嫌いじゃなかった。
親、親戚も俺のことなんか眼中にもなくて、兄にばかり期待がかけられていたから。
だからかもしれない。
俺は中学生くらいから、『黒い世界』に足を踏み入れるようになった。
夜の街をフラフラしていたとき、絡んできた2人の男を蹴飛ばしたとき、すげー気分がよくて。
俺は喧嘩が好きで、
人より強いんだということが分かるのは難しいことじゃなかった。